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さちもり

主に切り絵

切り絵との出会い

このサイトは2013年1月より開始しましたが、記憶をたどって私が切り絵に出会った日からのことを残していきたいと思います。

 

私が切り絵作家の蒼山日菜さんを知ったのは、この記事の日付である2011年7月21日のことです。

 

当時私は失業中で、働いていたら絶対に観ることのない朝のワイドショー番組を観ていました。 モーニングバード!に出演されていた蒼山さんは、世界的に有名な切り絵作家だと紹介されていました。恥ずかしながら私はこの番組を見るまで一切存じ上げませんでした。

 

今まで見たことのないような繊細で美しい作品の数々が次々とテレビに映し出されていくのを、私は息をのんで見つめていました。私はどうしてこの人を今まで知らなかったんだろう、どうしてもっと早く出会えなかったんだろう、こんなすばらしいものを知らずにいたなんてと、そればかりが頭を巡りました。

 

aoyamahina.com

 

おそらく世界で活躍する日本人についての番組などでは、かなり以前から蒼山さんが紹介されていたのだろうと思います。ですが私は観ようとしたことはありませんでした。生きがいを見つけ、やりがいを持って暮らす生き生きとした人々の姿は、私にはまぶしすぎてつらいだろうと思ったからです。

先ほど失業中だったと書きましたが、それまでの数年間、私は自分を追い詰めるような職場ばかりを選んでしまい、心身共にぼろぼろになっていました。悩みに悩み抜いて決死の思いで退職を決意し、やっと自由の身を手に入れ、その喜びをかみしめているところでした。

 

なので、もし蒼山さんに出会ったのが仕事で疲れ果てた私だったら、そのすばらしさを認められず、喜びも感じられず、ただ嫉妬するだけで終わったかもしれない。その次の日もまた昨日までと同じように、冷たい心で働くだけだったかもしれない。受け入れられる心がある今の今まで、神様が出会いを待っていてくれたのかも知れないと思えました。

  

www.kirienomori.jp

 

番組では蒼山さんの紹介の後、アナウンサーの赤江珠緒さんに切り絵のレッスンをされていました(上記のブログで番組で作られた切り絵の写真を見ることが出来ます)。

蒼山さんが説明していた切り絵の方法は衝撃でした。先の尖った細い細いはさみを紙に突き刺し、できた穴からはさみを刺し入れて模様を切り進んでいくのです。

 

 

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はさみで穴を開けます(写真ではもう開いています)

 

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その穴からはさみを入れ、切り進みます

 

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四角く切るなら、こんな風に切ります

 

はさみで紙に穴を開けるということ自体、信じられませんでした。それが出来るはさみも、今まで見たことのないものです。

 

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これは後に購入した、美鈴ハサミさんの切り絵用ハサミ(プロ)です。

 

www.misuzu-hasami.co.jp

 

 

慣れた手つきで流れるようにはさみを動かし、あっという間に小さな切り絵が完成しました。小さな刃を持つはさみでなければ絶対に作れない細かさです。

 

このとき私はもうテレビに貼りつかんばかりの勢いで、前のめりで映像を見つめていました。このはさみはどうやって手に入れるのだろう、紙は? 近所の大きな文具店で似たものが買えるだろうか? こんなに胸が高鳴るなんてことはしばらく経験したことがありません。

 

 

切り絵自体に出会ったのは小学生の時、週に一度のクラブ活動で切り絵クラブに入ったのがきっかけでした。切り絵の作り方(昔ながら版)というページで私がそれまで知っていた切り絵の作り方を説明しています。

 

ですから切り絵自体には少なからず縁があると思っていたのです。切る絵だと言ってもはさみではなく、カッターでやるものです。当時クラブ用にと買ってもらったNTカッターは、今でも大切に使っています。

 

NT デザインナイフ D?400P

NT デザインナイフ D?400P

 

 

 

当時の切り絵は自分で下絵を描くなんてものではなく、担当の先生が持っているクリアファイルの中から好きな下絵を選ぶという形式で、滝平二郎さんの作風に似た絵が主でした。

 

絵を描くのが大好きでたまらなかったはずなのに、自分が描いた絵を切りたいと思うことは一度もありませんでした。そもそもそんなことが出来ると思いませんでした。当時の下絵の作風があまりにも自分に描ける絵とかけ離れていたために、描けない、描くものではないと思い込んでいいました。

 

ですから蒼山さんが0.3mmのシャープを使って細い線を描き、それを切っていく様は驚愕以外のなんでもありませんでした。そしてカッターではなくはさみ。こんなことが出来るなんて、出来るならもっと昔からやりたかったと。

 

 

衝撃の、感激の出会いをしたこの日はとにかくうずうずして、家の中をかき回した末に見つけたルーズリーフと、中学生のときに買った切れないはさみでまねごとをしては、こんなんじゃないとため息をついて終わりました。